9/28/2013

2番はホットかコールドか?

オーディオの話。自宅スタジオの機材を整理しつつ、配線替えなどをしているのだが、これまでTASCAMのパッチベイで不平衡(unbalanced)接続してたものを、中古のdbxのパッチベイを入手したのを機会に平衡(balanced)接続にしてみようかと思ってる。


で、ふと気になってしまったのがキャノン・コネクター(XLRコネクター)とステレオ標準プラグ(TRS)との配線問題。XLRの2番をTRSのTに繋ぐのか3番をTに繋ぐのかで戸惑ってしまった。

最近の機材であれば迷うこと無く2番がホットなのでそれをTに繋ぐのだけど、マイクは35年前のものだし、コンプレッサーは20年前のものだしややこしい。

XLRコネクターには3つのピンがあって、1番がGND、つまりアースであることには混乱がない。平衡接続ではケーブルでの伝送上のノイズを回避するために、もとの位相の信号をホットで、反転させた位相の信号をコールドで送る。(ホット/コールドは線を区別するための呼び名で、熱かったり冷たかったりするわけではない。) 受信側ではコールドで送られた信号を再び位相を戻してホットの信号と合成する。すると、ケーブル上で両線に同じように乗ってしまったノイズは打ち消し合って除去できるという仕組み。

信号の伝送そのものにはホットかコールド、どちらかがあれば事足りるので、たいてい信号線とアース線だけの2本で不平衡接続されるが、引き回し距離が長い上に信号の弱いマイクには3線の平衡接続が標準的だ。

XLRコネクターでは2番をホットとするのが国際標準。だがそれが制定されたのは1992年で、それ以前には2番をホット、3番をコールドとするのがヨーロピアン・タイプ、3番をホット、2番をコールドとするのがアメリカン・タイプと呼ばれていた。マイクでも、カラオケで使うようなマイクをアンプに接続する際には標準プラグが使用されているのが普通で、その場合、マイクのXLR端子のホットを標準プラグのT(tip)、つまり先端部分に繋ぐのが普通だ。

マイクを単独で使用してる場合、2番がどらでも3番がどちらでも音には関係ないのだが、ヨーロピアンとアメリカンが混在すると、ミックスした際に同じ音源の音を打ち消しあってしまう。平衡接続のパッチベイで場合、モノラルの標準プラグの代わりにステレオ標準プラグを使用するが、ホットで統一しようとした場合、XLRの2番と3番、どちらをプラグの先端(T)に繋ぐべきだろう。基本的には持っているマイクや機器、個々の仕様にあたるしかない。

1980年ごろに買ったSHUREの588SBというマイク、マニュアルには"Positive pressure produces positive voltage on pin #2."と書いてある。2番がホットということでいいのだろうか。紛らわしいことに、付属していたXLR-TSケーブルは3番がTに配線されている。

いつ入手したか不明なRoland DR-20というマイクに付属するケーブルは2番がTに配線されている。

MOTU828というオーディオ・デジタル・インターフェースには、マイク用に2つのXLR入力があるが、この機器は比較的新しいので2番ホットでよさそうだ。

1990年ごろに購入したVestax SL-201というステレオ・コンプ/リミッターには各チャンネルのインとアウトにXLRコネクターがあるのだが、マニュアルが見つからない。ネットでは機器の存在すら確認できない。SL-201mkIIは名機だったらしい。

ホット/コールドが逆転して問題があるのはマイクだけで、しかも同時に複数の種類を使う時に限られる。宅録で特に神経質になる必要はないが、ここは基本的に2番ホットで統一しておこうか。


追記(2013/10/1)
Vestax SL-201mkIIの1996年のマニュアルを見たところ、XLRの2番がネガティブ(-)で3番がポジティブ(+)になっている。ということは3番がホット。この前の機種のSL-201も3番ホットと思った方が良さそう。

すべてを2番ホットとみなしてパッチパネルに繋いでおき、パッチパネル上で位相反転のコネクターを用意しておくという手もあるな。いずれにしてもケーブルをちゃんと見分けられるようにしておかないと混乱が増す。

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