7/01/2016

大森のMEGAドンキに行ってみた

1962年からそこにずっとあったダイシン百貨店が5月に閉店し、しかも6月下旬からはドン・キホーテになるというニュースは、大森地区の住民にとしては「Wの悲劇」に思えた。古くからの住民にとってダイシンでの買い物は日常であったし、その品揃えが食卓のメニューのベースでもあった。特に私とダイシンは同い年、ほぼダイシンの食材で身体ができているといっていい。

そのダイシン、バブル後に複数店舗化してからは食品以外の売り場がみるみる活気がなくなっていた。そして建築業界出身の社長に交代してから店舗をいっきに縮小し、なんとか下町百貨店として回復、2012年には建物をリニューアルした。メディアにもどんどん露出してたが、実際には2階、3階の売り場はいつもガラガラで、店員は「接客以外に重要な仕事があるのか」ってくらいに客を無視しているような状態、これはひどいなぁという感じだった。近くにオオゼキやらまいばすけっとやらがオープンして、唯一、人が入っていた食品売場の売り上げも落ちて行き詰ったらしい。

「悲劇」である。

そして、いつのまにやらドンキが経営権を握り、ついにかの閑静な大森の地に驚安の殿堂の看板が登場するに至った。ドンキといえばヤンキー。どちらかというと大森でも線路の向こう側のイメージである。

「Wの悲劇」である

これはいったいどんなことになるのだろう。ドンキが出店するも客層が違って業績振るわず、すぐさま撤退なんてことも考えられる。それじゃますます困る。駅前の京成/ヨーカ堂の跡地ビルのようなことになったら、大森がますますすさむ。

そんな心配な日々を経て、昨日大森山王のMEGAドン・キホーテがオープンとなった。

Twitterとかの評判は...、うーん悪くない。「食品売り場はほぼダイシン」とまで言っている人もいる。どうなんだろう。気になるのでさっそく今日出かけてみた。

ジャーマン通りを右にまがって、大森駅方面からダイシンに向かう。渋滞はしてない。でた、下品な黄色の文字の看板。駐車場は...、お、きれいになってる。ハトのフンもない。4階に停めてまずは2階に行った。

おおぉぉ、これは完全にドンキだ! ダイシンの頃は全体が見渡せたフロアが窮屈に商品が棚に積み上げられて目の前しか見えない。かつての書籍コーナーは文房具売場。この物量! 種類! 売る気がみなぎっている。奥には仏壇コーナーも。以前よりコンパクトになったが、やる気を感じる。見本の線香をただでくれた。

DoItもコンパクトに、店員の目がいきとどくように物が配置されている。次に衣料品。こ、これは、龍の柄のシャツ、誰が買うんだ? 見事にヤンキーのセンスのものが並んでいる。老人用のものが見当たらないし、買いたくなるデザインのものがない。ただ、売る気だけは感じる。店員も元気で、かつてのやる気が微塵も感じられない、ただ商品が並べてあるだけのダイシンからはかけ離れたエネルギーを感じる。

いや、昭和のダイシンは田舎臭さまんてんであったが、こういうエネルギーはあったなぁと、どこか懐かしさも感じたりした。田舎臭さがヤンキー臭さになって戻ってきたっていう感じだ。

今日のところは偵察なんで、2階はこのくらいにして何も買わず1階に。

エスカレーター下は、閉店前と同じく果物・野菜売り場。そして肉、魚と続くところは確かにほぼダイシン。だが、やや品揃えが違う。肉はメガ盛りが目立つ売り方をしている。あれ? 赤身の豚ひきがない。油揚げの「味わい亭」がない。十穀米がない。ちょっと戸惑ったがけっこう安くていいかも。うわー、お菓子の充実がはんぱない。酒コーナーもやる気出してる。

ひととおり店内をめぐって食料品を購入して思った。「小売とはこういうもんだ!」まぁオープン2日目ということもあるだろうが、店内は商品を売るぞという気迫に満ちていた。考えてみればダイシンを倒産から救った前の社長は建築家だ。それに比べてドンキは不況時代に成功を重ねてきた小売のプロである。もう、あきらかに売り場づくりのノウハウが違う。総合的にみると、なかなかいい進化を遂げたのではないだろうか。受け取ったレシートには(株)ダイシン百貨店と出てる。昭和のダイシンのパワーが戻ったんじゃないの。

ちょっと見なおしたぞ、ドンキ!

いや、ただね、あの看板と売ってる服のセンスはどうかと思うよ。


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