12/17/2010

Macの計算機.app 換算レートがアップデートできないなら英語モードで起動しろ

Macにはソフトウェア電卓っていうのが初代からついている。「コンピューターで仕事してるのに、計算するときに電卓を使ってその値をコンピューターに入力するっておかしいだろ。電卓よりコンピューターの方が高度な計算ができるのに!」って発想だろうけど、以前はデスク・アクセサリー(DA)として、どんなソフトを利用している時でもアップル・メニューから起動して計算結果をコピー・アンド・ペーストできた。Mac OS Xでは単独のアプリとして多機能関数電卓が実装されていて、私の場合、今でもちょっとしたことによく使うためDockに入っている。特にバージョンアップとかも期待してないけど、ないとちょっと不便だ。単位の換算とか為替の計算などにもちょくちょく使う。

ところが、今年の夏頃からこの単純なアプリケーションに問題が生じた。換算レートをアップデートしてくれないのである。それまでは、計算機を立ち上げるごとに常に最新のレート情報を持ってきてくれてたので、「今アメリカのAmazonでこれ買うと何円だな、ふむふむ」なんてことは10秒かからなかった。まぁ、ネット時代、こういうことはたまに起きるよね、くらいに思っていたらいつまでたっても対処されない。こんなことでは世界中のユーザーが困っておろうに、と思って対処の仕方を検索したが、特に問題になっている様子がなかった。

で、昨日、久々に「これ未だに問題にされていないのかな」とググってみたところ、同じように困っている人がいましたよ。困ってる人同士のやりとりのなかで解決策がしめされたました。「計算機.appを英語モードで立ち上げるとちゃんとレートをアップデートする」んだって。英語モードで立ち上げるには、Language Switcherなんてソフトもあったりする。ははぁ、どおりでAppleがちっとも対処しないわけだ。開発者はこんな問題があることをわかっていないか、ぜーんぜん低いプライオリティにしているかのどちらかなんだ。

しかし、計算機なんていう超クラシックな超スタンダードな超単純なソフトが、表示言語が違うだけでちゃんと動作しないこと自体が驚きだ。なんでそんなことが起こるのか、困ってる人同士のやりとりでは明らかになっていない。

計算機.appが為替レートの情報を取ってくる先はfinance.yahoo.comらしい。とすると、Appleが知らないうちにここでのAPIに変更があったか、あるいはフィードされるxmlが変わって計算機.appが認識できないかのどちらかと思われる。そうだとすれば、日本語モードになっているときと英語モードの時とで、やり取りされるコマンドとレスポンスが異なっていたということになるんだが、具体的に見てみるにはパケット・アナライザーをかまさなくてはいけない。そういうデータ取りをできないわけではないが、それをするのはAppleの仕事だ。

2011年1月13日追記:
Apple製のアプリは日本語版も本社で開発してるから、不具合があったらユーザーからバグレポートを上げないと対処に動かないらしい。計算機.appの換算レートがアップデートしない件、英語モードでは再現しないので、開発側が気がついていないのかもしれない。

2011年11月12日追記:
Lionの計算機.appではちゃんと直っていた。

11/26/2010

メールに巨大ファイルを添付してはいけない理由

義理の父のところに、写真を十数枚添付した同じメールが複数届いて、なにやらパソコンがおかしくなったとの電話があった。詳しく聞いてみると、セミナー仲間の誰かが複数の方にこの大容量メールを送ったため、携帯でメールを受けている人を中心に騒ぎになったらしい。

義父のメールボックスは私のところのサーバーにあるので、ログをチェックしたところ、なるほど同じ方から同じサイズのメールが連続して届いていた。義父に解説を書いたのだけど、せっかくの長文を書いたので、ブログにも転載しておくことにした。:


気軽になんでも送れるように思われるメールですが、実は様々なところで容量の制限がされています。というのも、メールは手元から発信側のサーバーにコピーされ、受信側のサーバーにコピーされ、最終的に受け手のパソコンにコピーされて届くものなので、それぞれの場所でディスクの容量を消費してしまうものだからです。

たいてい、送信側のサーバーにも容量の上限があり、受信側サーバーのメールボックスにも容量の上限があります。受信側のメールボックスは複数の人からのメールを受け取るので、いつまでもパソコンで受け取らないと最後にはどんな小さなサイズのメールも受け取ることができなくなります。そんなときには、メールは送信者に戻されることになります。当然送信者側のメールボックスにたくさんのメールが戻ってくると容量オーバーになるので、連鎖的にメールシステムがダメージを受けることになります。

これが「メールに大きなサイズのファイルを添付してはいけない」理由です。

今回、受信側で容量オーバーは起きてませんでした。(これは、こちらのサーバーに容量の上限を設定していないからです。たとえば、JCOMの場合メールボックス上限は20MB程度です。)
参考: http://www.jcom.co.jp/services/net/services/ata/summary.html

今回のケースでは、送り手側が送信時に何らかのエラーがあったため、何度も送りなおしをしてしまったということが考えられます。

まぁ通常メールで送る添付ファイルは1MB以下が理想で、どうしても大きくなってしまう場合でも5MB以下に抑えておかないとトラブルのもとです。とはいいつつ、近年写真のサイズはかなり大きいので、その場合はファイル共有サービスや写真共有サービスを利用するのが好ましいでしょう。

以上、ご友人に転送して解説しておいていだだくとよろしいかと思います。

11/12/2010

iPhoto 9.1 (iLife '11) が起動しないならDivXを消せ! Remove DivX for iPhoto 9.1 to launch!

Snow Leopard に iLife '11を導入したところ、iPhotoは緊急のアップグレードがあってiPhoto 9.1となった。ドックからiPhotoをクリックするとアイコンがしばらく飛び跳ね、やがて止まった。しかし起動しない。しかもiPhotoがCPUを100%使って応答しない状態。どうにもならないので、iPhotoを9.0にダウングレードしたらちゃんと起動した。

しかし、11月12日にOS Xが10.6.5にアップすると、今度は「iPhotoをアップグレードしろ」とメッセージを出してiPhotoが起動しない。しかたなく再び9.1にアップ。当然、前と同じ現象で起動しない。

とにかくネットで情報収集したところ、どうやらDivXの古いドライバーが干渉するとのこと。2004年製のDivX Pro5.component、DivX MP3 Encoder.componentというふたつのQuickTimeコンポーネントを、/Library/QuickTime (/ライブラリ/QuickTime) から出したところすんなり起動した。

これは難しい。誰もiPhotoとDivXが関係するとは思いもよらない。見つけた人はえらい。


海外でもきっと困ってる人がいるので、同じ内容を英語でも以下に書いておいた。

I installed iLife '11 on Snow Leopard and applied immediate update of iPhoto to 9.1. I clicked the iPhoto icon at the dock, the icon kept bouncing and then stopped. But iPhoto didn't show up, taking 100% of CPU load. The application was not responding at all. After a couple of trials, I downgraded it to 9.0 and it got working fine.

However, OS X was updated to 10.6.5 on Nov. 12th, I got an alert saying "iPhoto needs to be updated" and never launched up. Updated to 9.1 and of course, the symptom was restored again.

Anyway, I researched around the Internet and found that the old DivX driver seemed to be interfering. I removed two QuickTime components: DivX Pro5.component and DivX MP3 Encoder.component, both of which were created in "2004", from /Library/QuickTime. Finally, it worked fine.

What a difficult matter was this! Who can imagine the connection between iPhoto and DivX! What a clever one discovering this! I owe him/her.

11/09/2010

ビデオのコーデック

音楽用や静止画像用のコーデックがわりと単純なのとは対照的に、ビデオのコーデックは複雑怪奇だ。さらにコンテナーという概念も難しすぎる。

最近ではHDのフォーマットが標準的になってきているが、HDといってもひとつじゃない。たとえば、1080iとか720pという表し方をするが、これだけで解像度が決まっているわけではない。フルHDの場合、1920x1080が16:9のピクセル数だが、実際の作業では1440x1080iを用いることがある。しかし、1440x1080は4:3に圧縮された形式で、コーデックを変えた場合に16:9を保つためには1440x810でなくてはならなかったりする。その上、実際には1440x816が使われたりするので、さらにわけがわからない。

QuickTimeでの各種パラメーター設定はなにやらわけのわからないものばかりで、「最適」とはなんのことかも理解出来ない。あまりにもわけがわからなすぎるのに、ろくな解説が見当たらないというのはどうしたものか。

10/20/2010

「しなくちゃだ」

昔、学生宿舎で1年弱の間、同じ部屋で暮らした友人が「明日はテニスの練習で早起きしなくっちゃだし、締切りのレポートも書かなくっちゃだし...」って感じの言い回しをよくしてた。群馬出身の彼の言葉は東京育ちの私にもイントネーションなどほとんど違和感ないのだが、たまに「そうだいなぁ」なんて言うので、やっぱりちょっと違うんだなと思う瞬間があった。「しなくちゃだし...」っていうのもそんな言葉使いのひとつだった。

最近、話し言葉でもTwitterでも「〜しなきゃですね」とか「〜しなくちゃだ」って表現が目立つ気がする。明らかに東京の言葉じゃない。東京では「〜しなきゃならん」とか「〜しなくちゃならない」とか、「きゃ」とか「ちゃ」がくれば必ず「ならない」が次に来るはず。もともと「〜しなくてはならない」が正式な言い回しなので、「〜しなくてはだ」なんて言い方はしないはず。

まぁ方言なら「アリ」なんだけど、昨今これが東京の言葉だと誤認識されているようで、その状況は正直ちょっと気持ち悪い。これまで、群馬の方言だと思ってたんだけど、本当のところはどうなんだろう。調べてみなきゃだ。  あっ。

10/06/2010

ウジが作りだすオーガニックの肥料

ちょっと前に、株式会社緑化隊のウェブのコンサルをしてて、きれいに仕上がったしアップデートも自前でできるようになったため、しばらくご無沙汰していたところ、社長から「新商品を取り扱うことになったので、マーケティングのミーテイングに出てくれ」とのご依頼。事前に見ておくようにと言われたビデオがこちら:




ははぁ、これは社長が以前から注目していた理想的循環システムのヤツですね。

養豚場では毎日、たいへんな量の畜糞が出て、本来は産業廃棄物として有償で業者に引き取ってもらい、焼却処分するものなのだそうだ。しかし、畜糞は発酵させて堆肥にすれば有効な農業用肥料になる。ところが現在野積みは禁止。ちゃんと処理するにはプラントを作って最低4ヶ月しないと堆肥として使い物にならないのだそうだ。その間、近隣にもれる悪臭も問題になる。

一方、はるかロシアでは、将来人間を火星に送り込むために、人間の排泄物を再利用して食料を確保する仕組みをつくろうと研究がすすめられていた。そこで注目されたのが「ハエ」。ハエは世代交代が早く、幼虫の蛆は人の排泄物をあっという間に食い尽くし、体内の菌の作用で堆肥化する。その堆肥は作物を育て、蛆自身はそのまま(っていうかちょっとした加工で)食用のタンパク源となる。研究の末、ハエを完全に家畜化することにも成功し、もし外部に逃げ出しても人の手のないところでは生きることができないようにまでなったそうだ。

そして、千葉の畜産農家でこのハエと畜糞が出会うことになった。コンテナによりプラントをつくり、そこでこの家畜化されたハエをつかって畜糞を処理すると、従来4ヶ月以上かかっていた堆肥製造にわずか7日しかかからなくなった。そしてよくできているのは、蛆がサナギになろうとするときには自ら這いでてきて別の桶の中に入り込むため、堆肥と蛆を人手をかけて分別する手間がかからない。

できあがった堆肥は完全オーガニックで安全。ハエのサナギは特別の工程で茹で上げて餌にすると、これまた抗生物質を与えなくても抵抗力のある魚や鶏を育てることができるのだそうである。

なんてすばらしい!

すばらしいんだけど、登場するのが豚の糞とハエ、蛆と蛆の糞。でもって、サンプルをもらって来た。


蛆の糞だ。リサイクルされたペットボトルに入っている。蓋をあけると.... 臭い....。元気のなくなった観葉植物とか野菜とかに毎日小さなスプーン一杯分をやると、みるみる元気になり、野菜は実をつけまくるのだとか。さっそく、部屋で元気のないなんだかちっとも花の咲いてくれない草にやってみることにした。


でも、臭いので、やっぱり植えかえて土の中にこの蛆の糞を入れてみました。さて、花は咲くようになるでしょうか。

9/17/2010

妻がiPadに夢中

以前、iPhoneとMacBookの間にiPadが成功できるニッチがあるのか、っていう疑問を書いた。iPad発売前だ。

iPhoneとMacBookの間にニッチはあるのか?

またそれ以前にも、タッチパネルPCあるいはタブレット型PCについて過去の事例を考察して、

Appleのタブレット

にiPadの成功要因を予想してみた。まず、iPadはここで挙げた成功要因をクリアしてるのだろうか?

  • 価格が$300程度である
    • iPadは$499からだ。ハードルはぜんぜんクリアできてない
  • 軽くて落としてもダメージがほとんどない
    • これは本隊を軽くしてカバーをつけさせることでなんとかしているかもしれない
  • PCと簡単にシンクしバックアップできる
    • iTunesのおかげで、MacでもPCでもシンクとバックアップは簡単
  • オペレーションにストレスがない
    • ここにストレスがあったらAppleじゃないといえるほどよくできてる
  • いつでもどこでもインターネットから簡単に情報をとりだせる
    • WiFi/3Gでほぼ完璧

評価してみると、値段以外は合格してる。で、これまでに300万台超の大ヒット。私の妻も購入し、すっかりお気に入りだし、85歳近い私の父がそれを見て即、購入をしたというのも想像外のことだった! ちょっと大げさに言うと、妻の一日はiPadではじまり、iPadで終わるようになった。これから日本語の電子書籍が充実してくれば、読書好きの妻のiPad依存度はもっと高くなるだろう。

で、最初の疑問「iPhoneとMacBookの間にニッチはあったのか?」なんだが、Wall Street Journalの9月14日の記事によると、少なくともBestBuyにおいては「iPadはノートPCの売上の50%を食っている」とのことだ。つまり、iPadは従来ノートPCへ向いていた需要をかっさらっている。なので、去年まではカバンの中にノートPCを入れて持ち歩いてた人たちのうち50%が、そのうちにiPadだけをカバンに入れて持ち歩いていることになる。

Steve Jobsの言ってたとおり、NetBookはとても使いやすいモバイルPCではなかった。私もDell Mini 9にMac OS Xをインストールして使ってみているが、とても操作しづらい。「小さくて軽いMacがあれば便利だろう」なんて思っていた私はとんだ勘違いしてたことになる。旅行でMacBookを持って行って、車の中や宿で使ったこともあるが、この前妻のiPadを持って行ったらMacBookより格段に使いやすかった。

ところで、妻の買ったiPadは、「会社に行っても通信ができるように」とWiFi/3Gの一番高いやつを選んだ。8万円超だから、マジにノートPCなみの値段。なのに妻はそれを「重いから」という理由で会社へは持っていかず、家の中だけで使っている。もともと妻はノートPCも持ち歩いてなかったので、やっぱりiPadをノートPCの代用にしているのは間違いない。家のソファーでメールやウェブ、ツイッターをするのには、断然今までのMacBookより便利だ。

結局のところここでの結論としては、iPadの正体は、iPhoneとノートPCの中間のニッチ向けの製品ではなく、情報の"消費"に特化したノートPCの代替品だった、ということだ。

それで私はというと、iPod touchの新しいやつを購入しようかどうか迷っている最中。