4/29/2010

フロッピーの話 第4話

まぁまぁの寿命の長さだった3.5インチのパソコン用フロッピーに比べ、極端に短い寿命だったのがワープロのフロッピーだった。

私が大学3年生の時、父がOASYS 100Sという70万くらいする高額なワープロを買った。4年生になって卒論を書く際にそれを半年くらい借りて、まず発表用原稿を書き、それを編集して卒論を書いて提出した。日本語ワープロで卒論を書いた最初の世代だ。当時、卒論はたいてい手書きで、担当教授に赤を入れられるたびに清書しなおすのが普通だった時代に、超効率良く文章を仕上げることができた。なにせ、思いついたことから書いていけば、文章の入れ替えや章立ての変更は後からできるのだから、リニアに書いていかなければならない手書きとはまったく違う。「ワープロは教育的でない」などとわけのわからないことをいう先生とかもいたっけ。


で、そのOASYS 100Sのフロッピー、他のOASYS 100シリーズとまるで互換性がない。そもそもOASYSのフロッピー自体、富士通純正の専用のものしか使えないという、今では到底考えられない仕組みを採用していて、もちろんMS-DOSとの互換性も全くなかった。特にOASYS 100Sのフロッピーは早々に見捨てられ、そこに保存した文書はOASYS 100Sでしか読み込めないというひどい状況。70万もしたワープロがそんなことでいいのかと思うが、当時ワープロは100万以上があたりまえで、オフィスでも1台を社員が予約しながら共同で使うというものだった。なので見捨てられたのは比較的安い方の機械ということではあるが、それでも70万だ。

OASYS専用のフロッピーとは言っても、なんらかハックする方法はあったようで、WizardryというPC98用のフロッピーバックアップソフトを使うと、セクターごとコピーするので一般に販売されているフロッピーもOASYS用に転用できた。セクターが読めるのなら、なんとか中身を吸い出す手段はあるのだろうが、プログラマーではないのでそんなものは作れない。OASYS 100Sは、同機種同士をつないでデータ通信するオプション・プログラムはあったが、そんなものは使う機会もない。結局、OASYS 100Sで作られた文書は、複数のフロッピーに保存したとしてもプリント以外に出口がないまま、腐るのを待つだけである。

話は変わるが、数年前に見つけて興味を持って買ったものに、Individual ComputerのCatweasel MK3というのがある。これは実は独立したフロッピー・コントローラー付きのPCIボードで、ドライバをインストールすれば、XPから多様なフォーマットのフロッピーを読むことができる魔法の機器だ。MacのGCRフォーマット400KB、800KBにも対応してたりするので、これと5インチ・ドライブ使えば古いフロッピーからデータを吸い出すことができるかもしれない。けど、買っただけでちゃんと試してないところが、私のだめなところ。

おわり 第1話に戻る

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