昨年末、浅草の料亭で芸者遊び体験してから、「これはやはり三味線弾けるようになりたい」と思い、オークションで3500円で中古の長竿三味線を落札。破けた革を、大森の石村屋さんというタバコ屋にしか見えない三味線屋で4万円(!)かけて修理した。
私なんかは、三味線はじめようにもいきなりどこぞのお師匠さんの門をたたくなんてハードルの高いことはできず、ギターの延長でちょこっと小唄なんぞが弾けるようになりたい程度の気持ちだ。Amazonで教則本も買ってみたけど、やはり基礎はちゃんと教わらないとどうにもならない。「大田区 三味線 稽古 教室」などのキーワードでネット検索しても、あまりヒットするものがない。(このあたりの事情については多々思うところがあるので、また別の機会に書こうかな。)
さて、タバコ屋にしか見えない三味線石村屋のご主人は「多くの子どもたちに三味線に触れる機会をつくっていきたい」と、大田区の子供向けイベントに参加した区内の小中学生をさそって、月2回の三味線教室をひらいている。短期的にまったく商売にならないのに、一生懸命文化貢献をなさっている奇特な方である。これ幸いということで、その三味線教室にまぜていただくことにした。
2月から月2回のペースで小中学生の諸先輩にまざってお稽古をしてきたのだが、自分流で長年やってるギターとはまったく勝手が違う。用語も違う。たとえば、ギターは下から1弦、2弦、3弦...というが、三味線は逆で上から1の糸、2の糸、3の糸という。そもそも「弦」と言わない。糸を押さえる指の上がる下がるも逆の意味になる(低い音の方に指を移動するのが「上がる」)。同じ弦楽器でこうも違うのか。こんなところからまず戸惑う。
教えてくださったのは、民謡三味線の藤本流師範、秀三輪先生。南大井でたくさんのお弟子さんを持つ一流の方である。大森山王には石村屋さんの依頼で出張で教えにきてくださってる。三味線の持ち方構え方をレクチャーされるや、いきなり「黒田節」を弾いてみろという。見よう見まねで弾いてみると「おお、できたできた、うまいうまい」とおっしゃる。褒め上手だ。本当は全然できてない。
秀三輪先生の社中では何年かごとにホールにお客を招いての発表会をしているそうで、ちょうど今年の10月に、大井町きゅりあん小ホールで5年ぶりの発表会が予定されていた。始めて半年、ようやく数曲弾けるようになった段階で、私もそのステージに紛れ込ませていただけるということになった。へたっぴのくせにずうずうしい。
発表会後の2ヶ月は、撮影した映像と録音を編集してDVDに仕上げる作業に没頭することとなった。なんとかクリスマスの日にリリースが間に合い、実費4800円で販売した。手前味噌だが出来栄えはかなりいいと思う。少なくとも、秀三輪社中過去最高のライブ記録に仕上がったはずだ。DVD-Rじゃなくて、ちゃんと工場でプレスした本格的なDVD。コンテンツの合計3時間におよぶ音楽ライブ作品のポスプロは私も初めてだったので、納品されるまでは心が休まらなかった。今、大晦日を迎えた段階でへとへとだ。
そんなこんなの三味線三昧。でも、ま、2016年はトータルでいい1年だったよ。