3/24/2011

じゃぁ結局どのくらい被曝覚悟すりゃいいんだ

もう報道される単位がめちゃくちゃでどうしようもない。いろんな単位が出るもんだから値の大小は混乱するし、受ける影響なんて何を言われているのかさっぱりわからない。というわけで、全部シーベルトにシーベルトってことだ。なぜか? それが曝露した放射線の人体への影響を測る単位だからだ。


全部がシーベルトの値で示されれば、被曝量はカロリー計算のように足し算のみでわかる。一日の被曝量が抑えられれば情報に惑わされることはないのである。


重要なのはベクレル(Bq/kg)からシーベルト(Sv)への変換。ここで注意が必要だ。ベクレルの値は放射能がその時点でどれだけの放射線を出すのかを示すもので時間的な変化は表さない。同じ100Bq/kgでも、半減期の異なるヨウ素131とセシウム137とでは単位時間あたりの放射線量は異なるということだ。半減期の圧倒的に短いヨウ素131の方がセシウム137に比べ短い時間で放射線を出しつくすので影響は大きいのだ。 同じ100Bq/kgでも、半減期の異なる要素131とセシウム137とでは崩壊速度が違うので、放射性物質の全体量は半減期の長いセシウム137の方が断然多いのだ。


また、食物として摂取した場合、体内にどれほど吸収され留まるのか。代謝で排出されるまでどのくらいの時間がかかるかによっても放射線の影響は異なる。(経口摂取と吸引摂取とでも異なる。)


よって、ベクレルで発表された数値をシーベルトに変換するには複雑な計算をしないと求めることができないが、これまでの研究の積み重ねにより放射性物質ごとに算出された係数がある。それが実効線量係数だ。この係数のおかげでベクレルからマイクロシーベルトへの変換は掛け算だけで良い。



物質名
実効線量係数
ヨウ素131
0.022
セシウム134
0.019
セシウム137
0.013
ストロンチウム90
0.028



もっと詳しい表



100Bq/kgのヨウ素131の水を300ml飲んだ場合、水は1リットルが1Kgなので


 100Bq/kg × 0.3kg × 0.022 = 0.66 μSv



今回の事故の影響で年間に増加する被曝量を1mSvに抑えたいなら

 1mSv ÷ 365days = 2.7μSv/day


なので、300mlの水を飲んでもあと2.04μSvを他の食品から摂取したり、体外被曝しても大丈夫ということになる。


4月28日追記

ベクレルからマイクロシーベルトに換算する際には係数をかけるんだけど、この係数には体内半減期の要素が加わっている。つまり、体内にあるベクレル数の放射能が取り込まれてから体から排出されるまでの被曝量がμSvに換算されるからμSv/dayとして足し合わせるのは本来厳密じゃない。例えば10Bq/litterのI-131を含む水道水を2リットル飲んだ時0.44μSvと換算されるが、これは1日の被曝量ではない。ただし体内には1年以上留まらないので、年間の線量規制値1mSvを一日当たりに直した2.4μSvと比較する際、1日の外部被曝量と足すのがわかりやすい。

200Bq/litterのI-131を含む水を一時的に2リットル飲んでも、体外排出されるまでのトータルの被曝量が8.8μSvだが、1日あたりの被曝量は1μSvにも満たないはずだ。なので毎日飲み続けなければ影響は極めて小さい。「飲まない方が良いが飲んでも問題ない」という意味はこれ。なので、毎日の被曝量を意識していれば、たとえ少々放射能が多めのものを口にしたとしても、体への影響はほとんどないと思っていい。重要なのは続けて毎日とらないことだ。

2012年9月3日追記

ベクレルについて、明らかに間違った解釈をしていたので訂正した。斜体で本文に追記した。

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