全部がシーベルトの値で示されれば、被曝量はカロリー計算のように足し算のみでわかる。一日の被曝量が抑えられれば情報に惑わされることはないのである。
重要なのはベクレル(Bq/kg)からシーベルト(Sv)への変換。ここで注意が必要だ。ベクレルの値は放射能がその時点でどれだけの放射線を出すのかを示すもので時間的な変化は表さない。
また、食物として摂取した場合、体内にどれほど吸収され留まるのか。代謝で排出されるまでどのくらいの時間がかかるかによっても放射線の影響は異なる。(経口摂取と吸引摂取とでも異なる。)
よって、ベクレルで発表された数値をシーベルトに変換するには複雑な計算をしないと求めることができないが、これまでの研究の積み重ねにより放射性物質ごとに算出された係数がある。それが実効線量係数だ。この係数のおかげでベクレルからマイクロシーベルトへの変換は掛け算だけで良い。
物質名
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実効線量係数
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ヨウ素131 |
0.022
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セシウム134 |
0.019
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セシウム137 |
0.013
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ストロンチウム90 |
0.028
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もっと詳しい表
100Bq/kgのヨウ素131の水を300ml飲んだ場合、水は1リットルが1Kgなので
100Bq/kg × 0.3kg × 0.022 = 0.66 μSv
今回の事故の影響で年間に増加する被曝量を1mSvに抑えたいなら
1mSv ÷ 365days = 2.7μSv/day
なので、300mlの水を飲んでもあと2.04μSvを他の食品から摂取したり、体外被曝しても大丈夫ということになる。
4月28日追記
ベクレルからマイクロシーベルトに換算する際には係数をかけるんだけど、この係数には体内半減期の要素が加わっている。つまり、体内にあるベクレル数の放射能が取り込まれてから体から排出されるまでの被曝量がμSvに換算されるからμSv/dayとして足し合わせるのは本来厳密じゃない。例えば10Bq/litterのI-131を含む水道水を2リットル飲んだ時0.44μSvと換算されるが、これは1日の被曝量ではない。ただし体内には1年以上留まらないので、年間の線量規制値1mSvを一日当たりに直した2.4μSvと比較する際、1日の外部被曝量と足すのがわかりやすい。
200Bq/litterのI-131を含む水を一時的に2リットル飲んでも、体外排出されるまでのトータルの被曝量が8.8μSvだが、1日あたりの被曝量は1μSvにも満たないはずだ。なので毎日飲み続けなければ影響は極めて小さい。「飲まない方が良いが飲んでも問題ない」という意味はこれ。なので、毎日の被曝量を意識していれば、たとえ少々放射能が多めのものを口にしたとしても、体への影響はほとんどないと思っていい。重要なのは続けて毎日とらないことだ。
2012年9月3日追記
ベクレルについて、明らかに間違った解釈をしていたので訂正した。斜体で本文に追記した。
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