「技術的に優れたものが普及するとは限らない」とは家庭用ビデオの標準戦争にからめてよく言われるが、実はWindows for Penも勝者ではない。コンシューマーはそんなものが欲しくなかった、というのが本当のところだ。
PenPointが想定したターゲットはハンドヘルド型のタッチパネルPCを持ち歩きながらデータ入力するような作業、たとえば機器の点検作業であるとか、保険の勧誘、在庫管理の作業などだ。ホワイトカラー用に、会議のメモやスケジュール、コンタクト管理にも、持ち歩きに便利なPCとなるだろうと思われた。当時のデモは今見ても魅力的だ。
だが、実際にのコンピューターを買う側には次のようなわだかまりがある。
- 携帯するには重くて大きい。
- タブレットPCは高額で、落として破損でもしたら収集したデータも含めて損害が計り知れない。
- 文字認識は正確さに欠けるため、ペンによる文字入力は効率性に欠ける。
- データのシンク作業が面倒。
すぐにユーザーがつかないということは、そのプラットフォームに対する将来の不安もつきまとってくるため、ますます導入は躊躇されるようになる。悪循環のはじまりだ。
こうして振り返ってみれば、PenPointには成功できる要素が備わっておらず、単に技術的なShowCaseでしかなかったと言える。PenPointは3年早かったと言われることもあるが、3年後でも同じ結果だったろう。しかし、ここから得られた教訓は、次の世代に引き継がれるのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿