9/24/2009

PenPointはどうして成功できなかったか

GOのPenPointが注目されてすぐに、MicrosoftがWindows for Penを発表してハードメーカーに働きかけた。まだ、MSはWindows for Penを完成させるには程遠い状態だったにもかかわらず、この理不尽なメーカーへの圧力のせいでPenPointの市場が潰された。本当にそうなのか?

「技術的に優れたものが普及するとは限らない」とは家庭用ビデオの標準戦争にからめてよく言われるが、実はWindows for Penも勝者ではない。コンシューマーはそんなものが欲しくなかった、というのが本当のところだ。

PenPointが想定したターゲットはハンドヘルド型のタッチパネルPCを持ち歩きながらデータ入力するような作業、たとえば機器の点検作業であるとか、保険の勧誘、在庫管理の作業などだ。ホワイトカラー用に、会議のメモやスケジュール、コンタクト管理にも、持ち歩きに便利なPCとなるだろうと思われた。当時のデモは今見ても魅力的だ。

だが、実際にのコンピューターを買う側には次のようなわだかまりがある。
  1. 携帯するには重くて大きい。
  2. タブレットPCは高額で、落として破損でもしたら収集したデータも含めて損害が計り知れない。
  3. 文字認識は正確さに欠けるため、ペンによる文字入力は効率性に欠ける。
  4. データのシンク作業が面倒。
受け入れられる技術は、人間を何かから解放してくれるものだ。しかし、PenPointは注目される技術でありながら、それを使うユーザーは煩わしさから解放されるどころか、心配事を増やしてしまう方向を向いていたことになる。データ入力作業の効率化を考えていたとしても、すぐさま飛びつくにはハードルが高すぎる。

すぐにユーザーがつかないということは、そのプラットフォームに対する将来の不安もつきまとってくるため、ますます導入は躊躇されるようになる。悪循環のはじまりだ。

こうして振り返ってみれば、PenPointには成功できる要素が備わっておらず、単に技術的なShowCaseでしかなかったと言える。PenPointは3年早かったと言われることもあるが、3年後でも同じ結果だったろう。しかし、ここから得られた教訓は、次の世代に引き継がれるのである。

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